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蓮沼昌宏ワークショップ「つくろう! クルクルアニメーション」 and DOMANI @水戸(「佐藤雅晴 尾行―存在の不在/不在の存在」展関連プログラム)

現在、水戸芸術館現代美術ギャラリーでは、「佐藤雅晴 尾行―存在の不在/不在の存在」展が開催しています。(2022年1月30日まで)

佐藤雅晴さん(1973-2019)は、ビデオカメラやスチルカメラで日常風景を撮影し、パソコン上でトレースしてアニメーション化する「ロトスコープ」という技法を用いて映像作品を制作するアーティスト。
「DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに」(2020.1.11-2.16)では、《I touch Dream #1》(1999年)と《福島尾行》(2018年)の2作品が展示され「DOMANI・明日展」とも縁のある作家です。

水戸芸術館に到着すると《バイバイカモン》(2010年)のうさくまがお出迎え。

ここから佐藤雅晴さんの世界が始まります。
館内にも作品が展示されており、さながらウォーミングアップのように会場に辿りつくまでに気分が高揚していきます。
受付を済ませ階段を登ると、そこには「すごろく鑑賞ガイド」が置かれています。こちらは、水戸芸術館で毎年実施している小中学生のための鑑賞ツアー「あーとバス」2019のガイドスタッフ8名と編集長がともに制作したもので子どもたちに展覧会の楽しみを伝えるために置かれていましたが、大人もぜひ、このガイドを片手に展示を鑑賞していただきたい。

いよいよ会場入り口です。

会場は全部で9室から構成されており、26の映像作品と38の平面作品が展示されています。
第1室では1999年に渡独してからの作品が並べられており、ここから佐藤雅晴さんの作品の尾行が始まります。
第2室以降は2010年に帰国してからの作品が並びます。帰国後に病気が見つかり、闘病生活を送りながらの制作や東日本大震災が起きるなど、大きな出来事に直面します。
第5室では、展覧会タイトルでも使用されている「尾行」の文字がタイトルに使われている《東京尾行》(2015-2016年)の展示があります。


実写にアニメーションがトレースされ、自動演奏ピアノが奏でるドビュッシーの「月の光」が、この空間を現実と非現実の世界を浮遊しているような不思議な空間に感じさせます。
ここで乱された心を一度リセットするかのように次の部屋には「うさくまのひみつのへや」があります。

くまの足元のペダルを踏むと占いの紙が入ったカプセルが出てきます。その占いの紙を係員にみせると「うさくま」シールが貰えます。
そんなひと時の楽しみを終えると、いよいよ後半の展示へ。
《ダテマキ》(2013)のアニメーションは、ダテマキを作る工程を流していますが、なぜか映像から目が離せなくなります。

第7室では前述の《東京尾行》と対比するかのように《福島尾行》(2018)が展示されています。

この作品は佐藤さんが医師から完治の見込みがないことを告げられ、残りの命とどう向き合うか考えた末、再び福島を訪れたものです。
しかし、余命3ヶ月の宣告を受け、中断を余儀なくされ未完の作品となりました。
第8室では《バイバイカモン》(2010)の作品が、展示室を一周したことを告げるウサギの「バイバイ」ともう一度展示室へと誘うクマの「カモン」が映し出されています。2匹が仲良く手を繋いでいるのも微笑ましく感じます。

また、少し離れた第9室には、2019年の個展「死神先生」で発表された作品も展示されているのでお見逃しなく!

佐藤雅晴の画業を振り返る見ごたえたっぷりの回顧展となっています。
映像はループされているので、どこから見ても見続けられるようになっており、最後はクマの「カモン」の誘いに乗り、もう一度展示室を見て回りたくなる、まさにループの世界に入り込むこと間違いないでしょう。
是非、会期中に足を運んでみてはいかがでしょうか。

また、この企画にDOMANI展がコラボレーションし、「and DOMANI」として、蓮沼昌宏さんによるワークショップが水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室で行われます。
蓮沼さんは、2016年度に新進芸術家海外研修生としてドイツ(フランクフルト)に研修にいき、「21st DOMANI・明日展」及び「DOMANI・明日展 PLUS×日比谷図書文化館 Artists meet Books 本という樹、図書館という森」に参加しました。

パラパラマンガの原理で絵が動く「キノーラ」という装置を使ってアニメーションを制作しており、アーティストと一緒に自分の描いた絵がアニメーションとして動き出す体験をします。完成した動画は1月に行われる上映会でお披露目をします。
日 時:2021年12月4日(土)14:00~16:00
定    員:15名(抽選)
参加費:小中高校生 500円/一般 1,200円(※別途、佐藤雅晴展入場券が必要です)
お申込みはこちら
申込期限は11月25日(木)までとなっております。すでに応募が多数届いている人気のワークショップです。